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BRAND STORY 003 / UNITED NUDE

【Jacky Metal】今シーズンのコレクションで表現している「女性らしさ」と重力を無視したかの様な「無重力」的なデザイン。ミラーヒールにすることで、遠くから見ると足が浮かび上がっているように見える、まさにフューチャリスティックなブーツ。

国内をはじめ、世界のファッションシーンを牽引する人気ブランドの原点から未来のヴィジョンまで、ブランドのアイデンティティをストデパらしく紐解く『BRAND STORY』。連載第3回目にご登場いただいたのは、『UNITED NUDE JAPAN』代表、青田 行さん。オランダ出身のRem D Koolhaasとイギリス出身のGalahad Clarkによって始まったシューズブランド、『UNITED NUDE』の魅力について語っていただきました。

運命的な出会いによって、国内での展開がはじまる

現代アートのような色使いと彫刻のようなフォルム、フューチャリスティックな世界観でファッションを楽しむ女性たちを魅了する、シューズブランド『UNITED NUDE』。オランダ人の建築家でもあるRem D Koolhaas(レム・D・コールハース)と、イギリスの靴メーカー『Clarks』の7代目であるGalahad Clark(ガラード・クラーク)が2003年に立ち上げ、瞬く間に世界中で注目されるブランドとなる。 2016年には満を持して『UNITED NUDE JAPAN』が設立され、代表の青田 行(アオタ ススム)さんは、ふとしたきっかけでブランドの発足前から彼らと関わってきたという。


「仕事で訪れていたイギリス・ノーザンプトンのカフェで偶然居合わせた『Clarks』の社長に声をかけられて、話をしているうちに息子さんの相談に乗って欲しいという展開になり、彼らを紹介されたのがきっかけなんです。後日、彼らが考案中のファーストモデルで、のちにブランドのアイコニックモデルとなる“Mobius”を見せてもらいました。ジミー・チュウさんにも見てもらって誉めていただいたモデルだと聞きましたが、これがやりたいんだと言われても、1型だけでどうブランドの提案・展開をしていけばいいのかなど、いろいろ考えるところはありましたね(笑)。まぁ、ご縁ということで、日本でのセールスに関わることになりました」。

青田さんの人を引き寄せる才能と研ぎ澄まされた直感、国内外でのセールスの経験が生かされ、日本で『UNITED NUDE』が展開されることになる。

2016年にオープンした東京・青山のフラッグシップストアで仕事をこなす『UNITED NUDE JAPAN』代表、青田 行さん。クリエイティブディレクターのレムさんと同じレベルでカルチャー談義ができるアートへの傾倒ぶりは流石の一言に尽きる。

テクノロジーの進化で確立していく独創的なスタイル

『UNITED NUDE』はファーストコレクションから世界中の主要セレクトショップで取り扱われ、現在では唯一無二なシューズブランドとして位置付けられている。コレクションの中でも特に目を奪われる独創的な形状のヒールはどのように制作されているのか、誰もが気になるポイントだろう。

「クリエイティブディレクターのレムが建築家ということもあり、建築の構造計算を靴に応用しています。彼曰く、建物を設計する際、重さや地震などの揺れに対していかに力を逃すかを計算していく。靴も同じで、歩いた時に体重の何十倍もの重さが靴にかかるため、いかに力を逃して、安定感を保てるかを計算していきます。一般的に建築物は設計後に縮小模型を作りますが実物大のサンプルは作りませんので、全てグラフィックと構造計算で設計します。
そのため、建築業界はゲーム業界同様、グラフィックのシステムにとても投資をしています。 その最新設計システムを使って構造計算されたデザインに『Clarks』で100年以上培ってきた“コンフォート”のノウハウを落とし込んでいくことで、見た目の美しさだけでなく、歩きやすさ、クッション性などを実現しています」。


ブランドを始めた頃から15年間でテクノロジーも進化し、今では3Dプリンターでラスト(木型)を作り、最新のシステムで複雑なデザインも短期間で、且つ、低コストで商品化できるようになった。その分、商品化するまでのテスト期間に時間を費やせるようにもなり、新しいデザインにも挑戦できるようになった。 デザイン性が際立っていく一方で、進化した素材を取り入れるアプローチも注目を集める理由の一つになっている。

「UNITED NUDEでは通常靴に使われる素材以外も積極的に取り入れています。特に、強度や軽さが求められるヒールのパーツには独特なデザインを実現するために、最新の自動車などでも使われる強化プラスティックやグラスファイバーを使用しています。これらの最新素材の進化はUNITED NUDEの独創的なヒールを商品化する上で無くてはならないものとなっています。 また、靴に限らずファッションもそうですが、形状記憶やドライ、エアクッションなど機能的な素材がここ10年くらいですごく進化しています。例えばエコファー。最新のエコファーは実際に触ってもリアルと区別がつかないくらい自然な毛並みになってきています。2018年秋冬コレクションでは、ワイルドエコファーを用いた“Loop Teddy”、“Terra Teddy”などの他、最新のハイテク素材をアッパーに採用した“Bo Bubble“、新開発された軽量でクッション性に優れたソールのスニーカー“Bo Easy”など、機能的な素材のモデルも提案しています」。

  • 【Loop Teddy】最新の強化プラスティックをヒールに使用し、ブランドのアイコニックモデルの一つ“Loop”に不規則な毛並みのワイルドエコファーをプラスしてトレンドの表情に仕上げている。デイリーにはもちろん、リゾート地でのおしゃれシューズとして使う方も多いそう。
    ファーミュール 37,000円 / UNITED NUDE

  • 【Bo Bubble】スノーブーツと宇宙飛行士のイメージをミックスしてデザインされたモデル。アッパーには強度、耐熱性、耐寒性に優れた最新のハイテク素材を採用している。新開発されたスポーツソールは常識を覆す履き心地。
    キルティングブーツ 34,000円 / UNITED NUDE

  • 【Bo Easy】優れた伸縮性が快適なフィット感をサポートするエラスティック仕立てのスニーカー。タウンユースの他、コンパクトにかかとを折って履くことができて軽量なため、飛行機や旅先で履きたい一足としても選ばれている。
    エラスティックスリッポン 25,000円 / UNITED NUDE

L.A.、ロンドン、東京の3都市にあるディレクションの拠点

建築一家で生まれ育ったレムさんは幼い頃から家族と一緒に世界中を飛び回る生活を送り、ご自身もまた建築を学んでいるという。どういった経緯で靴に関わるようになったのか、素朴な疑問が湧いてくる。

「ワンデザイン・ワンプロダクトの建築と違い、靴はワンデザインで量産できる。学んできたものを生かしながら量産できるものをと考えた時に靴だと思った。と、よく言っています」。

一つの場所で限定的な人が利用する建物ではなく、より多くの地域、人種にデザインを提供したいという思いは、ブランドのコンセプトにも繋がっている。

「人と人が繋がる場所を大切にしていて、ショップやオフィスは“FUTURE, NATURE, CULTURE”をコンセプトにレムが設計しています。ブランド名の“UNITED”という意味でもグローバルにやっていきたいという思いがあり、本人はオランダ人ですが、イギリス、アメリカ、中国、アルゼンチンなど、いろんな国の人が集まったデザインチームになっています。“NUDE”には、フルオープンなマインドでアイディアや意見を世代も人種も違うチームでどんどん出し合って、新しいものを生み出していこうという気持ちが込められていて、ディレクションの拠点もL.A.とロンドンと東京にあります」。


そして、レムさんは様々な人種、カルチャーが集まる街、L.A.に移住してとても刺激を受けているという。

「もともとアートやカルチャーが好きということもあって、アーティストやデザイナー、DJ、ミュージシャンが集まるL.A.が楽しくてしょうがないみたいです(笑)。彼が好きなアーティスト、HAJIME SORAYAMAやDAVID HOCKNEYをはじめ、アートやカルチャーの情報は共有しています。今年は社員みんなでL.A.に行き、ダウンタウンにできたアートミュージアム『The Broad』で本物のアートを見て、オフィスでは次シーズンのディレクションに参加してきました。本物を体感して共感できれば、お客さまにも自分の言葉で伝えることができますからね」。

チームとしての一体感と意識の高さは、ディスプレイされた洋書やアートなど、コレクションのストーリーとリンクしたものが選ばれていることやお店の空気感からも伝わってくる。

  • クリエイティブディレクターのレムさんが、“FUTURE, NATURE, CULTURE”をコンセプトに設計した『UNITED NUDE TOKYO』。無機質ではなく体温を感じる近未来という印象の内装が魅力的。

【左上】建築家レム・コールハース(同姓同名の叔父)さんの作品集。N.Y.の『Prada』のお店の他、代表的な作品が収められている。
【右上】フォトグラファー、BETTINA RHEIMSの写真集。様々な人種の“モードだけど芯の強い女性”が被写体になっている部分にブランドの考え方と通づるものがあるという。
【右下】カメラワークが好きだという、DAVID HOCKNEYの作品集。ワンアングルずつ撮っていき、一つのアートフォトにする技法が特徴。表紙になっている有名なプールの写真の他、グランドキャニオンなどネイチャーな作品もある。
【左下】1960~70年代から見た近未来を描いたようなテイストのSORAYAMA HAJIMEさんの作品集。来日するたびに会いたいと言うほど、レムさんが一番好きなアーティスト。

自由な発想でジャンルを越えた活動もしていきたい

テクノロジーの進化と同じように、『UNITED NUDE』の活動もシューズブランドの枠にとどまらず進化している。

「ニッチな部分では認知されてきていますので、トレンドに敏感な一部の人たちに限らず、子育てを終えた世代でファッションを楽しまれている方たちにも届くアプローチができたらと思っています。せっかくジャパン社を立ち上げたので、昨年から始まった『ISSEY MIYAKE』とのコラボレーション企画のように、世界で活躍されている日本のデザイナーやアーティスト、企業などをレムと繋いでいけたら面白いなと思っています」。


本国では異業種との企画が既に始まっている。例えば、“Lo Res Project”という考え方から生まれた、“Lo Res Car”。

「写真や映像のローレゾリューション(解像度を落とす)という意味で、グラフィックで解像度を上げるとクリアになり、落とすと荒くなる。その技法でビジュアル解像度を落としてどんどん進めていくとカクカクしてくるんです。1面を作るために最終的にミニマムで点を3つにして、その技法を使って歴史的な名車『ランボルギーニカウンタック』をリデザインしています」。

イギリスの雑誌『Wallpaper』で2016年デザインアワードを受賞した、まさにフューチャリスティックな質感とデザインのEV(電気自動車)は、『UNITED NUDE』の斬新な技法を生み出す発想力とデザイン力が発揮されたプロダクトだと言える。

「これからの時代は“何屋”だと言えない時代になってくる。『UNITED NUDE』も靴屋だけじゃなく、デザインカンパニーなんだよと、レムは言います。世界中のいろんな企業がジャンルを超えたビジネスを始めていますが、それらのベースになっているのはデザインだと思います。例えば、『Apple』は金融事業をはじめていますし、『dyson』はEVの量産を発表しました。そういう時代ですよね。私たちもシューズブランドを大切にしながら、この先も面白いことをやっていきたいと思っています」。

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イギリスの雑誌、『Wallpaper』で2016年デザインアワードを受賞した、EV(電気自動車)の“Lo Res Car”。ヨーロッパではすでに数台売れたそう。『ランボルギーニカウンタック』をローレゾリューションして、リデザインしたという斬新な発想から生まれている。

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UNITED NUDE

2003年、オランダ人の建築家レム・D・コールハースと、イギリス人の靴職人、ガラード・クラーク(Clarksの7代目)がロンドンで『UNITED NUDE』をスタートする。建築デザインとの強い結びつきを持ち、動き・色彩・素材・技術の可能性を追求し、明確な構想のもとにファッションと建築を融合させた先進的な靴を発表している。ファーストモデルでありバルセロナチェアからインスパイアされた“Mobius”シューズから始まり、様々な靴の境界を押し広げ、『ZAHA HADID』や『ISSEY MIYAKE』など様々なジャンルとのコラボレーションが実現する。現在、レム・D・コールハースは様々な人やカルチャーが集まる都市、LAに移住し、クリエイティブディレクターとしてデザイン活動を統括している。ブランドの“15th Anniversary“企画が各都市のコンセプトストアで展開中。

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  • Photo: Hiroki Ota
  • Text&Edit: Naomi Miura
  • Direction: Miki Fujibayashi

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