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BRAND STORY
001 / CINOH チノ

国内をはじめ、世界のファッションシーンを牽引する人気ブランドの原点から未来のヴィジョンまで、ブランドのアイデンティティを紐解く『BRAND STORY』。連載第1回目にご登場いただいたのは、独自のコンテンポラリースタイルで私たちを魅了する『CINOH』デザイナー茅野誉之さん。クリエイションの源となるカルチャーとコレクションの魅力に迫ります。

窓から柔らかな自然光が降り注ぐ、昼下がりの『CINOH』アトリエ。
2018年秋冬シーズンのコレクションが並ぶ。

デザイナーになろうと決めたのは、高校生の時


上質素材と緻密なパターンテクニックを用いた、絶妙なバランスのミニマルデザインが印象的な『CINOH』。現在、国内外の主要セレクトショップで取り扱われ、海外でもクオリティの高さに注目が集まっている。そんな人気ブランドのデザイナー茅野誉之さんは、高校生の頃、既にデザイナーになることを心に決めていたという。「音楽を聴きながらスケートボードに熱中する高校時代でしたが、一方で、毎月、友人と早朝のバスに乗って東京へ向かい、一日かけて買い物をして夜に帰るということもしていました。ある日、東京から帰る途中、ラジオで“葉脈のラインは美しい”、“自然を見て育った人はドレープ感覚がある”といった内容を文化服装学院の名誉学院長、小池千枝先生が話しているのを耳にして、あのラフシモンズも田舎育ちの境遇だったのだから、僕もデザイナーになれるかもしれないという安易な考えから志望した気がします(笑)」。

引き寄せられるように文化服装学院に入学・卒業した後、前進となるブランドを発足する。2014年春夏シーズンにブランド名を『CINOH』に改称後、デコラティブな要素のあるデザインから、ミニマルなデザインのコレクションへと変化していく。「やりたいことと時代感を捉えたものが共存するコレクションから、改称を機に、世の中の流れをあまり気にせず、作りたいものを作ろうという考え方に変化していきました」

ミニマルデザインが際立つ、現代版 “プレッピー”


シーズンを重ねながら進化していく、茅野さんのミニマルデザイン。2018年秋冬コレクションでは、“プレッピー”をテーマに襟のないコーチジャケットや、アームラインに特徴をプラスしたボタンダウンシャツ、裾まわりにパイピングを施したスタンドカラーシャツ、コクーンシルエットのニットなどを展開している。「プレッピーは若い頃から良質なものに囲まれて育っていますが、逆に伝統的で上質な服を着崩すようないい感覚も養われています。例えば、日本の学生で言えば周りの人との違いを出すために、学生服の裾を破いて安全ピンで止めるみたいな感じで、プレッピーたちはアイビーよりちょっとやんちゃな精神を持ち合わせている。そういうプレッピーの感覚や概念を今のムードのディテールに変えて提案しています」。

あえて膨らませる、絞る、長く、太くなど、ひとクセ加えた上でミニマルに落とし込む。また、同時にテーマ性をより分かりやすくするために、いわゆるプレッピースタイルの象徴、ボタンダウンのディテールやチェック柄を取り入れたアイテムも目を引く。「今回作ったオリジナルチェックは、普段目にするチェック柄の配色バランス、見え方を崩しているので違和感があると思います」。焼き回しではなく、違う提案をしていきたいという通り、素材もパターンもバランスも、過去のプレッピースタイルそのままではなく、現代に置き換え、整えられていることで垢抜けた印象が際立っている。
  • ほぼ原型がないノーカーラーのコーチジャケット。ラインはプレッピーを意識している。後姿にこだわりを持たせるプレッピースタイル。
    正面から見ると制服のようなデザインで後ろは素材を変えてプリーツに。
    ブルゾン 60,000円  スカート 56,000円/ともにCINOH

  • チェックオンチェックが新鮮な定番のロングコート。ウールをカシミヤのように感じさせるフィニッシング技術の高さはバイヤーたちを唸らせる。
    チェスターコート 130,000円/CINOH

  • 縮ませて立体感を出すためにポリウレタンを入れたシャツ。バックセンターでの切り替えと、プレッピーを印象付けるバックネックのボタンがポイント。
    シャツ 29,000円/CINOH

  • 縮ませて立体感を出すためにポリウレタンを入れたシャツ。
    バックセンターでの切り替えと、プレッピーを印象付けるバックネックのボタンがポイント。
    シャツ 29,000円/CINOH

細部にまでこだわり抜いた上質素材の数々


茅野さんのアトリエに並ぶ、鮮やかなピンクのコートにもボタンが見当たらない。「感覚的なことですが、ボタンをつけるとシンプルなイメージで、つけないとミニマルに感じます。これは、着にくさをデザインすることが究極のミニマルデザインだと捉えたアイテムです」。ある意味、扱いにくさがあったとしても、エレガントで格好良いものに落とし込む力と精神にミニマルデザインの真髄があるように感じる。また、アトリエでも一際目立つのが、着丈の長いチェックオンチェックのウールのコート。「着丈の長いものをあえて定番のひとつとして位置付けています。海外のショールームでカシミヤと間違えられるほどの上質なウールを使用しています」。

その他、シャツと同じ糸で作った素材のスカート、シルクロードの工場で作られるドライタッチなトルファンやシワになりにくいポリエステル+ポリウレタンを使用したシャツなど、上質なアイテムが豊富に揃う。「グローバルな視点で見ると素材が良いのは当たり前。素材に加えて、仕様やパターンテクニックで創り出す、“Contemporary Style”がブランドの特徴だと考えていますが、それを創り出すためには生地が不可欠。やはり素材にはこだわっていますね(笑)」。
  • 袖部分だけシルクの裏地をつけたコート。Tシャツの上に羽織る時、肌が触る部分がキュプラよりも温もりがあり、手作業の繊細さも感じる。
    ノーカラーコート 110,000円/CINOH

  • シャツに使う糸と同じ糸で作った生地を用いたスカート。シャツよりも依りを増やしているものの、とても繊細な仕上がり。
    スカート 49,000円/CINOH

クリエイションの原点はスケートカルチャー


ポータブルCDプレーヤーと小さいスピーカーを繋いで、音楽を聴きながらスケボーする。高校時代にそんな日常を送る。「田舎だったしスケボーくらいしかなかった。雑誌も持ち寄って、Boon、メンノン、ハイファッションなどを回し読みしていて、当時はジル・サンダー、ラフ・シモンズ、コム デ ギャルソン、ドリス ヴァン ノッテンなどが好きでした」。情報量が少ない時代に感度の高い雑誌を選び、スケートカルチャーを知り、音楽にも目覚めていく。「中学の時にお兄ちゃんがいる友達の家に遊びに行くと、かせきさいだぁとかピチカート・ファイブのCDがあったんです。なんかカッコよく見えるじゃないですか(笑)」。

初めて買ったアルバムは中学の頃、スチャダラパーも収録されていた『ヒップホップ大全集』。その流れから、ビースティ・ボーイズあたりにシフトしそうなところ、西海岸系のバンドにハマる。「高1~2年の頃、好きだったのは、Kornというバンドです。あとは、高3の時にすごく流行っていた、RAGE AGAINST THE MACHINE。僧侶がデモで自分に火をつけて抗議しているジャケットで社会的なメッセージが強いバンドです。なんというか、アナーキズムとか反体制に憧れるじゃないですか若者って(笑)」。こういった自然な流れで養われたアナーキー精神がクリエイションにおいて、単純な概念の焼き回しではなく、独自の解釈による「違う提案」をしていきたいという考え方に繋がっているのかもしれない。

(左上)高校生から聴いている、KornとRAGE AGAINST THE MACHINE。
(左下)高校生の時に憧れていた、ジル・サンダー。『ミスター・ハイファッション』は今でも保存版。
(右上)ストリートカルチャーの代名詞(もしくはストリートカルチャーに多大な影響を与えた)BONES BRIGADEのメンバー、トミー・ゲレロ。ストライプのシャツにパンツ、コンバースを合わせるようなスタイルに影響を受けている。
(右下)愛読していた『relax』。45号で特集されていた、グラフィックアーティストDELTAの作品集のタイトルから会社名が生まれた。

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    高校生から聴いている、KornとRAGE AGAINST THE MACHINE。

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    高校生の時に憧れていた、ジル・サンダー。『ミスター・ハイファッション』は今でも保存版。

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    ストリートカルチャーの代名詞ストリートカルチャーの代名詞(もしくはストリートカルチャーに多大な影響を与えた)BONES BRIGADEのメンバー、トミー・ゲレロ。ストライプのシャツにパンツ、コンバースを合わせるようなスタイルに影響を受けている。

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    愛読していた『relax』。45号で特集されていた、グラフィックアーティストDELTAの作品集のタイトルから会社名が生まれた。

ブランド紹介
  • CINOH
    チノ

デザイナー茅野誉之(チノ タカユキ)。
文化服装学院ファッション工科専門課程アパレルデザイン科卒業。翌年、文化ファッションビジネススクール(現、文化ファッション大学院大学)を終了。2007年、『MOULD』(現、株式会社モールド)を創業し、前進となるブランドを2008年秋冬からスタートする。2014年春夏コレクションよりブランド名を『CINOH』に改称。「一瞬の時の中に存在するだけでなく、ワードローブ・想い出に残るモノ創り。」を理念とし、自由な発想から生まれる東京のストリートをベースにした、遊び心と高揚感を持った大人のリアルクローズを提案している。また、細部にまでこだわり抜いた素材と仕様、パターンテクニックをもとに創り出される、“Contemporary Style”は、国内をはじめ、海外でも高く評価されている。今後は今まで以上に海外を視野に入れ、活動の場を広げていく予定。

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  • Photo: Hiroki Ota
  • Text&Compilation: Naomi Miura
  • Direction: Miki Fujibayashi

※掲載商品は税抜/定価表示となっております。