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BRAND STORY 007 / ADER.bijoux

国内をはじめ、世界のファッションシーンを牽引する人気ブランドの原点から未来のヴィジョンまで、ブランドのアイデンティティを紐解く『BRAND STORY』。連載第7回目にご登場いただいたのは、ヴィンテージやデッドストックのパーツを使った独創的な世界観が魅力のジュエリーブランド、『ADER.bijoux』デザイナー英里・リストリさん。古き良きものから刺激を受けたモノづくりのこだわりと最新コレクションについて伺いました。

ジュエリーデザイナーになった
きっかけは、パリへ行ったこと

ヨーロッパ各地で買い付けたヴィンテージやデッドストックのパーツを自由自在に操り、現代の女性が華やかに輝くジュエリーを提案する『ADER.bijoux』。2013年春夏コレクションからブランドをスタートし、瞬く間に全国の主要セレクトショップで取り扱われるようになり、ブランド発足約1年後には直営店を構えるという急成長を遂げ、ファッションに関心を寄せる女性たちの熱い視線を常に集めている。

そんな人気ジュエリーブランドのデザイナー英里・リストリさんは、大学卒業後、一般企業での勤務を経て、フリーランスでファッションブランドなどのPRを経験。その後、いつか行ってみたかったというフランスへ旅に出たことがきっかけとなり、ジュエリーの道へ進むことになったそう。

「知り合いのフランス人を訪ねて初めてパリへ行った時、街を歩いているだけですっかり気持ちが高まり、パリに住みたいなと思ったんです。それからフランス語を勉強して渡仏したのですが、最初の一年でお金を使いすぎてしまったので、これからどうしようかなと仕事のことを考えていた時に、自分の中には昔からモノづくりが好きという気持ちと、その延長にブランドをやってみたいなという憧れがあったので、フランスの会社で経験を積みたいと思ったんです。色々応募した中で、コスチュームジュエリーのブランドで正社員として雇ってもらうことになって、そこで勉強したというか、なんでもやっていましたね(笑)。デザイナーの指示のもと、資料作成やデザイン、材料屋さんや職人さんとのコミュニケーションなどたくさん経験しました」

仕事をしているうちに自然と繋がったフランスのパーツ屋さん、職人さんたちとのネットワークを頼りに、材料の買い付けから生産まで、すべてフランスで行うかたちで『ADER.bijoux』のコレクション制作が始まっていった。

10月に移転したばかりの『ADER.bijoux』の新しいアトリエ兼ショールーム。窓から差し込む柔らかな光よって、ショールームに並ぶジュエリーがより一層輝く。

  • ピンク色に塗られたサロンスペースの壁やフランスの友人から譲ってもらったテーブルや椅子など、フランスのエスプリが効いた空間で2018年秋冬コレクションについて語る、デザイナー英里・リストリさん。

時代を経て受け継がれる
ヴィンテージに艶やかさをプラス

長く愛されるものを作りたいという思いを込めて、 “毎日のファッションに気軽に取り入れることができるヴィンテージ”をコンセプトに、ヴィンテージ初心者にも簡単に取り入れられるアイテムを展開している『ADER.bijoux』。そのブランド名は、“艶やか”という言葉からきている造語だという。

「もともと古いものを大切に扱っていきたいという思いがあって、そこに女性らしい“艶やかさ”をプラスするという意味で、“ADER”というブランド名にしました。ずっと長くワードローブで愛されていくものを作りたいということが、ブランド立ち上げ時から変わらない思いです」

古いものにインスパイアされたモノづくりはブランドの特徴にもなっている。例えば、18世紀ヨーロッパのカットスチール。

「100年以上前からあるカットスチールは、ダイアモンドのような多面カットを施した小さなスチールのパーツのことで、アンティークのバックルなどによく使われていて、それが好きで集めていました。職人さんに、ヴィンテージのカットスチールが本当に好きだから作りたいと伝えても、今は作れない技術なんだと言われ、それは困ったと(笑)。でも、どうにかこういう感じで再現したものを作りたいということで、カットした真鍮のボールを使って、繋げて作るというやり方で商品化しています」

深いこだわりがあるからこそ、誰もが真似できない唯一無二なアイテムが生まれていく。その最たる例にラタンシリーズがある。

「私たちにしかできないようなものは、どうやったらできるかなとよく考えています。例えば、ラタンシリーズは手作業じゃないと作れないものなので、手間もかかるし、綺麗に作るのも難しいので、真似もしたくないようなものだと思います(笑)。実は私の祖母がすごくモノづくりをする人で、ラタン(籐)でなんでも作っていたんです。テーブルやおもちゃの乳母車など、今も引き続き使っているんですが、一緒に色々作っていたので、祖母の影響を受けていたのかもしれないですね」

ヨーロッパ各地で集めてくるというヴィンテージのパーツ。その時代ならではの質感や色彩など、独特な存在感を放つパーツを使って『ADER.bijoux』流に現代の女性が輝くジュエリーへと導いていく。

宇宙的なものからインスパイアされた、光り輝くコレクション

2018年秋冬コレクションのテーマは、“Poussières d’étoiles (星屑)”。アメリカの天文学者であり、作家のカール・エドワード・セーガンの言葉にインスパイアされて、デザイナー英里・リストリさんが思いを馳せたのが、“宇宙の中の私たちという存在”。そうして生まれたのが、宇宙の鉱物を思わせるマーブル柄のアクリルや自然の温度を感じるようなヴィンテージのガラスストーンを使ったアイテムたち。

「今シーズンはカットスチールや星のモチーフのように宇宙っぽいものをイメージした素材やパーツの他、“LAYER FILIGREE”や“LAYER SOLID”のように光線をイメージしたレイヤーものなど、宇宙的なものからインスパイアされて作ったものが多いですね」

中でも異彩を放ち、惑星を彷彿させるアーティスティックなデザインの“COSMO RING”は、一目惚れしてしまうほどの美しいフォルムに加え、指も細っそりと見えるカッティングになっているのが魅力。また、シルクのタッセルを使用した、”STAR SILK FRINGE 2WAY ピアス”や、“FILIGREE PEARL METAL 2WAY ピアス”のように、使い方次第で色々楽しめるものもある。

「タッセルは今の気分だったのと、可愛いシルクタッセルを偶然発見したので、今回ストデパさんの別注として初めて使いました。タッセルのキャッチ以外に普通のキャッチも付属しているので、そのままタッセルと合わせてもいいし、バックキャッチだけプレーンなものにつけ替えるなど、2wayで楽しむこともできます。“FILIGREE PEARL METAL 2WAY ピアス”は、“FILIGREE”シリーズのパールバージョンです。小ぶりでつけやすいサイズでエレガントな雰囲気にしました。キャッチの角度を変えることで、違ったレイヤード感や立体感を楽しむことができますよ」

その他、“月と星”シリーズのピアスやイヤリング、“ラタン”シリーズのバングルやピアスなど、お馴染みの人気アイテムも展開している。

  • スターモチーフにシルクのフリンジを組み合わせた、ストライプデパートメント限定のピアス。片方だけフリンジをつけたり、フリンジを外してプレーンなキャッチに替えたりとアレンジが楽しめるアイテム。ストデパ限定の2WAYピアス 15,000円/ADER.bijoux
    『ADER.bijoux』のシグネチャーでもある“FILIGREE”シリーズを少しコンパクトなサイズ感にした、ストライプデパートメント限定ピアス。バックキャッチの角度を変えると違ったレイヤード感や立体感が生まれる。ストデパ限定の2WAYピアス 22,000円/ADER.bijoux

    (写真左)右から順に。
    スターモチーフにシルクのフリンジを組み合わせた、ストライプデパートメント限定のピアス。片方だけフリンジをつけたり、フリンジを外してプレーンなキャッチに替えたりとアレンジが楽しめるアイテム。ストデパ限定の2WAYピアス 15,000円/ADER.bijoux
    『ADER.bijoux』のシグネチャーでもある“FILIGREE”シリーズを少しコンパクトなサイズ感にした、ストライプデパートメント限定ピアス。バックキャッチの角度を変えると違ったレイヤード感や立体感が生まれる。ストデパ限定の2WAYピアス 22,000円/ADER.bijoux

    (写真右)右から時計回りに。
    ゆらゆらと揺れる動きが可愛い、星と三日月がモチーフの左右アシメトリーデザインピアス。イヤリングタイプもあり。ピアス 13,500円/ADER.bijoux
    惑星を彷彿させる、COSMOピアス。パールを動かして横につけたり、パールなしで枠だけつけるなどのアレンジが可能。ピアス 16,000円/ADER.bijoux
    光沢を押さえたシックなゴールドをベースにしたネックレス。首につけた状態で長さが簡単に変えられるアジャスター付き。ネックレス 26,000円/ADER.bijoux
    ダイアモンドのような多面カットを施した真鍮のパーツを組み合わせた星型のピアス。100年以上前のカットスチール技法を再現している。ピアス 18,000円/ADER.bijoux
    透かし細工がアイディア源で前後2つのパーツを好きな角度にレイヤードできるピアス。高度な線加工の技術を使って作られている。ピアス 22,000円/ADER.bijoux

    右から時計回りに。
    ゆらゆらと揺れる動きが可愛い、星と三日月がモチーフの左右アシメトリーデザインピアス。イヤリングタイプもあり。ピアス 13,500円/ADER.bijoux
    惑星を彷彿させる、COSMOピアス。パールを動かして横につけたり、パールなしで枠だけつけるなどのアレンジが可能。ピアス 16,000円/ADER.bijoux
    光沢を押さえたシックなゴールドをベースにしたネックレス。首につけた状態で長さが簡単に変えられるアジャスター付き。ネックレス 26,000円/ADER.bijoux
    ダイアモンドのような多面カットを施した真鍮のパーツを組み合わせた星型のピアス。100年以上前のカットスチール技法を再現している。ピアス 18,000円/ADER.bijoux
    透かし細工がアイディア源で前後2つのパーツを好きな角度にレイヤードできるピアス。高度な線加工の技術を使って作られている。ピアス 22,000円/ADER.bijoux

インスパイア源は
身近にいる大切な人たち

パリと東京を行き来しながら、子育てと仕事を両立するデザイナー英里・リストリさん。忙しい日常の中で最近の習慣になっているのは、“隙間の有効活用”だという。

「子育てをしていると色々と時間が限られてくるので、以前よりも短時間で集中してデザインを出さなきゃいけないという感覚があって、移動中の隙間でも常にデザインのことを考えています。以前よりも頭の中にアイデアをストックしておく努力を一生懸命やっているかもしれないですね」

デザインやアイデアは日常のちょっとした時間に生まれ、コレクション全体のテーマやキーワードに繋がる言葉はご主人との会話から生まれることが多いそう。

「クリエイションにおいて何かに影響されたということはあまりないのですが、文化的なことでいうと、夫にすごく影響されています。夫は作家なんですが、歴史、カルチャー、西洋美術などすごく詳しいので、いろんな話を聞いて刺激されることが多々あります。毎回、コレクションのテーマを作る時は夫に相談しているんです」

ご主人との理想的なパートナーシップがコレクションの鍵となり、仕事がひと段落した際のリフレッシュ方法では、“頭を空っぽにするための家族旅行”が欠かせないという。

「夫の実家があるコルシカ島へ毎年行っているのと、行ける時は遠い近いに限らず旅に出ています。何がという目的も物欲も特にないのですが、とにかく頭の中を空っぽにしに行くんです。島から船で別の島に渡るみたいな感じで観光客があまりいないところへ行くことが多いですね。海は頭を空っぽにしてくれるので好きなのですが、小さい子供がいるとずっと海にいられないことに、この間気づいたところです(笑)」

出産前は直線的なものやシャープなフォルムのアイテムが多く展開されていたが、最近は曲線や透明感など、クリエイションのイメージが柔らかな印象に変化しているところがあるそう。子供から受ける穏やかな波長とご主人とのクリエイティブな会話、そしておばあちゃんから受け継がれたモノづくりの精神。『ADER.bijoux』のクリエイションの魅力はそこにあるように感じる。

最後に、気になる今後の活動予定について少しだけ教えていただいた。

「今までやっていないような外との取り組み、ジャンルを超えたコラボレーションなどできるといいなと思っています。今までブランドを目にしていないようなお客様に向けてアプローチしたいなと思っています」

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今年の夏、コルシカ島のご主人の実家へ帰った際、娘さんの洗礼式があり、親戚が総勢150人くらい集まってガーデンパーティが催されたそう。コルシカ島では祝杯ムードだったため、海で頭を空っぽにする時間はあまり持てなかったという。

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島が好きで、ギリシャの観光客がほとんどいないところにも行ったそう。この島に辿り着くまでに別の島でトランジットして行ったというこだわりの場所。「気づくと子供が砂を食べそうになったりするので、海に長時間いるのは難しい状況でした(笑)」

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ADER.bijoux

デザイナー英里・リストリ(エリ・リストリ)。パリのコスチュームジュエリーブランドでのデザイナー経験、西洋美術史を学んだ後、2013年春夏コレクションよりコスチュームジュエリーブランド『ADER』(現在、『ADER.bijoux』に改称)を立ち上げる。ヨーロッパ各地で買い付けたヴィンテージやデッドストックのパーツに日本の職人技術が掛け合わさった、他にはない世界観が魅力。“毎日のファッションに気軽に取り入れることができるヴィンテージ”をコンセプトに、ヴィンテージ初心者にも簡単に取り入れられるアイテムを多数展開している。

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  • Photo: Hiroki Ota
  • Text&Edit: Naomi Miura
  • Direction: Miki Fujibayashi

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