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Editorial / January 2022

大人の読書感想文・冬休み篇

取材協力/ YORK.代表 山藤陽子
写真/ 藤田由香



子供の頃は憂鬱の種だった長期休暇の宿題定番、読書感想文。
大人になってみれば、感じたままに自分らしく語ることができるようになっていると気づく。
ニューノーマル・ライフで時間に余裕ができて柔らかくなった心で何かを感じたいと、
今までになく読書に興味を持った月日……そうなると当然、気になる人が読んだ本も気になるわけで。
冬休み篇では、偏愛をキーワードにセレクション&ディレクションを行うYORK.代表の山藤陽子さんに最近読んだ本を伺った。
「“心地よい揺らぎ感と意外性”というのが人生のテーマ。当たり前にいいものを当たり前にいいねというだけではなく、ちっちゃい驚きが人生には大切。体温が1度上がるようなワクワク感を感じるようなものを紹介していきたい」
そう語られた通り、挙がってきたのは自己の中心に置いたものへの探究心と実験的好奇心に満ちたタイトル。
心と身体をそっと揺らす一冊 ──きっと、あなたもすぐに読みたくなるはず。


「偏愛感覚が一致する」



何度も繰り返し読んでいる、日本の植物学の父と呼ばれる牧野富太郎さんの『なぜ花は匂うか』。
私がパフュームの仕事を手がけていることもあって、「植物がなぜ香りを出しているのか?」なんて、とても惹かれました。
牧野さんは、本の帯にある「私は植物の愛人としてこの世に生まれてきたように感じます」というワード通り、植物に魅せられて一生を終えた方。
周りが見えなくなるくらい夢中になって突っ走ってしまう方だったようで、奥様は大変だったみたいですけれど(笑)。読むたびに、やっぱり私は牧野さんが好きだなあ、と思うんです。
『牧野 新日本植物圖鑑』はオークションで手に入れました。
ぎっしり掲載されている図版は、すべて牧野さんの手によるものなんですが……ここまで偏り続けるということは大事なんだなと思わせられる。
偏っているからこそ、自分が本当に好きなのは何かということを伝えられたり、他人からの理解が得られたりするものではないかなと。

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『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』 牧野富太郎 (平凡社)
日本植物学の父と呼ばれた著者が、花と植物の魅力の真髄を語った作品。「私は植物の愛人」と軽口を飛ばしつつも、植物を神秘と捉えた愛情深い視線が文章からこぼれてくる。

『牧野新日本植物圖鑑』 牧野富太郎 (北隆館)
絶版(2020年1月12日現在)となっている約1500ページの植物図鑑。著者の手による図版は学術的でありながら美しく、植物そのものが美しい存在であると認識できる。

「こだわらないけど、偏る」



「『好きよ』っていうのは偏るけれど、『〇〇じゃないとダメ』とカテゴライズはしない。なるべく自由に、解き放った中での偏りを信条としている」
と山藤さん。植物の素晴らしさを浴びるような蔵書。

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『樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声』 ペーター・ヴォールレーベン (早川書房)
動物とは違い、動かない植物。しかしコミュニケーションをとり、子供を教育し、助け合う能力や社会性があることが最新科学と長年の観察で明かされる。ドイツで森林管理をしてきた著者によるネイチャー・ノンフィクション。世界で100万部を突破、続々重版されているロングセラー。

『花の知恵』モーリス・メーテルリンク (工作舎)
『青い鳥』の作家メーテルリンクの観察による博物誌。カエデのプロペラ、ミモザの戦慄き、セキショウモの悲劇、セージの愛の罠、ランの複雑な仕掛けなどについて、文学的に語られる。

『植物たちの秘密の言葉 ふれあいの生命誌』 ジャン-マリー・ペルト (工作舎)
匂いで蜂に語りかける蘭、毒の言葉を持つシャクナゲ、毛虫の襲来を仲間に知らせるポプラなど。植物と昆虫の関係性を中心に、人間を含む生物の相互関係をコミュニケーションをテーマにまとめた作品。

「最近一番役に立ったのが、この本」



痩せたいというより崩れてきた体型。悔しいけれど年齢的に諦めるしかないのか?……いやいや! 人生最後のベストボディに!(笑)と、昨年春に一念発起。
この月曜断食に酵素浴、朝のウォーキング1時間をセットで身体を整え始めて、約半年でマイナス10kg。
肌の調子も良くなって、オートファジーの効果かなと思っています。
オートファジーの、16時間のファスティングで飢餓状態をつくると古くなった細胞を自己消化していく仕組みは、アンチエイジングに繋がるので注目しています。
……実は、月曜断食のいいところは他にもあって。土日がチートデーなんです。私は『不摂生の日』と呼んで、ソフトクリームの食べ歩きをしちゃったり(笑)。

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『月曜断食 「究極の健康法」でみるみる痩せる! 』 関口 賢 (文藝春秋)
月曜日に断食するだけ、夜のお酒OK。コスト0ですぐに取り組める、関口鍼灸治療院を経営する著者が提唱する体質改善メソッド。多くの実践者が1か月間に5〜7kg痩せ、脂質異常症、生理不順、むくみ、肌荒れが解消。リバウンドしにくく40代以上でも着実にウェイトダウンを実感できると話題。Amazonのクチコミ、Twitterのハッシュタグでの月断フレンドづくりなど、励まし合う新しい文化が生まれている。
本記事担当エディターも触発されてトライ、1か月でマイナス3kg。過去何をしても痩せなかったのに……。モチベーションが急上昇、教えてくださった山藤さんに深く感謝しつつ継続中。

山藤陽子
YORK.代表・ライフスタイルコーディネーター・SCENT Designer

やまふじ・ようこ/ 気持ちいいことをテーマに、セレクト、ブランドコンサルティング、商品企画開発、パフューマーとしてフレグランスや舞台など、空間演出としての調香も手がける。2015年、南青山にコンセプトストア「HEIGHTS」をオープン。オリジナルのシルクのラウンジウェアやパフュームなど、独自の偏愛の幅を広げている。
instagram: @heights_yokoyamafuji

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