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Editorial / August 2021

大人の読書感想文

取材協力/ AKIRA NAKA、田中 文江




子供の頃は憂鬱の種だった夏休みの宿題定番、読書感想文。
大人になってみれば、感じたままに自分らしく語ることができるようになっていると気づく。
ニューノーマル・ライフで時間に余裕ができて柔らかくなった心で何かを感じたいと、
今までになく読書に興味を持った夏……そうなると当然、気になる人が読んだ本も気になるわけで。
流行の最先端にいるデザイナーのお二人に最近読んだ本を伺ったところ、奇しくも「今」を駆け抜けるタイトルが挙がってきた。
作品から受け取ったエレメントはクリエイションに溶け込み、新たなデザインへと形を変えていく。
心を動かした一冊 ──きっと、あなたもすぐに読みたくなるはず。


AKIRA NAKA/デザイナー

「人の美しさ、とは」



『流浪の月』では、真実と事実にどれだけの距離感があるのかという視点、人と人の関係の多様性についてもとても興味深かった。人の想いの美しさが感じられた。
『ザリガニの鳴くところ』は、女性の視点で女性の生涯を描いた内容であったことと、海外の女性作家の表現力に触れたいとの思いから選んだ一冊。
孤独について様々な思いを巡らせる機会になり、人の美しさと強さを感じた。

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『流浪の月』 凪良 ゆう (東京創元社)
再会すべきではなかった二人の邂逅が引き金となり、運命の歯車が回り出す。周囲の人を巻き込み加速してゆき──新しい人間関係への旅立ちを描いた小説。2020年本屋大賞受賞作。

『ザリガニの鳴くところ』 ディーリア・オーエンズ (早川書房)
舞台はアメリカ、ノースカロライナ州の湿地帯。6歳で家族に見捨てられ孤独に生きる少女の恋心や成長に、住居の側で起きた不審死事件が絡み合い、思いも寄らない結末へとストーリーが転がっていく。アメリカのベストセラー小説。

AKIRA NAKA
AKIRANAKA Designer

アメリカ滞在中にテーラーと出会いデザインを始める。
アントワープ王立芸術アカデミー在学中にイェール国際モード フェスティバルに選出。その後、アントワープにおいてニットデザイナーに師事し2006年に帰国、07年POESIEをスタート。
21_21DESIGN SIGHT での“ヨーロッパで出会った新人たち展”、ROCKET GALLERYでのエキシビジョン等インスタレーションでの発表を開始。
09S/Sシーズンよりレーベル名をAKIRANAKAに変更し、東京コレクションに参加。同年、ベストデビュタントアワード受賞。
テキスタイルの豊かさを強みとし、2016 SPRING COLLECTION より、“attitudeを身に纏う”をコンセプトにコレクションを展開。立体裁断による洗練されたシルエットのアイテムや、北欧と日本のハンドニット技術を掛け合わせたクチュールライクなニットを展開。





田中 文江/デザイナー

「物語の世界観、ハマる伏線のテクニック」



大人になると本に学びを求めるために、どうしても人生論や社会と自身をリンクさせる目的で選んでいました。そんな折、
「漫画大国日本!日本に住むなら漫画でしょ!」
と、娘からのおすすめ。
確かに最近は、漫画やアニメからの流行を発信する時代。あまり漫画本は手に取らないのですが、作者の紡ぐ世界観へとすぐに入り込み、ドップリ流行にハマってしまった私です(笑)。
人間誰もが一度は思う、「過去に戻ったら?」が物語のベース。サスペンス的に描いた中に、友人や愛する人を想う感情が交えられ、単にストーリーを楽しむこと以外にも想像や推理と……頭を使いながら読んでいて、完全に物語の中に自分が入っていました。
伏線の回収が絶妙で、作者のストーリーテリングの凄さは圧巻! 伏線のテクニックは表現方法の面白さゆえに、自身の学びにもなりました。
ちなみに私の推しは『千冬』です(笑)。

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『東京リベンジャーズ』和久井健(講談社)
ある日ニュースで人生唯一の中学時代の恋人が殺されたことを知ったフリーターの花垣武道。自らも電車のホームで何者かに突き飛ばされ殺されかけたことをきっかけに12年前にタイムリープ。逃げ続けた自分を変えるために人生のリベンジを開始する。第44回講談社漫画賞少年部門受賞。累計発行部数3200万部突破。TVアニメ化、実写映画化、舞台化と熱い話題を振りまいている。

田中 文江
FUMIE=TANAKA Designer

2019年10月、ブランド創設。
2020SSより、ウィメンズブランドデザイナー、田中文江による”THEDallas”を改名し、新ブランド”FUMIE TANAKA”をスタート。
デザイナー田中の世界観をFUMIE TANAKAのフィルターを通し、解放された自然体で自分の思う感性を表現。自分を知り、自然体に居心地の良さを感じる大人に向けたブランドに。
革小物の展開や遊び心がある異業種との取り組みを含めたコラボレーションも特徴。


読書シーンをカスタマイズ

「良い本は人生におけるイベント」
と言ったのはスタンダール。
特別な本のためのブックスタンド、
ベッドで読むための照明、
持ち歩くためのブックカバー。
最近では、デジタルデバイスで読むための
ブルーライトカット眼鏡も。
読書の周りにはサポートアイテムがたくさんあり、
イベントとして盛り上げてくれる。