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THE BASIC 5 デザイナーが語る、人気ブランドの定番5選
—ファクトタム 有働幸司さんの場合—

息の長いブランドには必ず支持される理由がある。その要の一つとなるのが、「定番アイテム」の存在だ。「売れ続けている」ということはすなわち、商品としての完成度が高く、トレンドに左右されない普遍性を備えている証拠である。そんなアイテムだからこそ、ブランドの哲学やこわだりが詰まっているのだと考えられる。気になるブランドがあれば、まずは定番から買う。これは買い物を失敗しないための定石でもあるのだ。この企画では、人気ブランドのデザイナーが自らコレクションを解説し、「5つのアイテムの紹介」とともに、定番の魅力を紐解いていく。

野暮なアメカジとは一味違う、シックで着回しの効く定番服

今回ご登場いただくのは、「ファクトタム」のデザイナー・有働幸司さん。アメリカンクロージングをベースに、日本人らしいクオリティへのこだわりやヨーロッパのテイストを織り交ぜたコレクションは、内外で高く評価されている。

そもそもの話になりますが、毎シーズンどのようにコレクションを展開しているのでしょうか?

有働:シーズンテーマを設けて新作を発表しつつ、そこに定番として継続しているアイテムを織り交ぜています。ざっくりした数字ですが、シーズナルな商品が40~50型、定番が30~40型ぐらいです。今季は「50年代のアメリカ」がテーマです。

なるほど。かなり定番の割合が多いんですね。そこでの服づくりで意識していることは?

有働:定番として継続していく上で心がけているのは、時代性を加味しながら、常にプロダクトをアップデートさせていくことです。少しでも長く着てもらいたいのでパフォーマンスは徹底してこだわります。時折、定番アイテムにもシーズンテーマを落とし込むことがありますが、あまり強く反映させることもなく、バランスを大切しています。

#01 BLACK DENIM SKINNY

10年以上売れ続けている、色落ち抜群のブラックデニム

確かに2つのブラックデニムを比べるとディテールの変遷が分かりますね。

有働:ブラックデニムは、前身のブランドから含めるとかれこれ15~20年以上は作っているブランドを代表するアイテムです。スキニー、ストレート、シューカット、テーパードの4つの形で展開しています。ブルーに対して、6:4ぐらいの割合でブラックの方が売れています。

ブラックデニムはインディゴのデニムと比べると色落ちした時の風合いが乏しい印象がありますが迫力がありますね。

有働:個人的にデニムは「究極の日常着」だと思っています。それもあって、ブラックデニムでも色落ちにこだわっています。試行錯誤の末、10年ほど前にたどり着いた結論が、経糸・緯糸ともに、ロープ染色したブラックの糸を使うという選択でした。11.5ozのストレッチ仕様のデニムですが、インディゴと同じようにデニムを育てる楽しみを体感してもらえると思います。

「いい具合の色落ちになりにくい」と言われるストレッチデニムなのに、この雰囲気は素晴らしいと思います。

有働:経緯ともに糸は黒の方がエレガントですしね。あとは同じスキニーフィットでも股上の深さを調整したり、その時代ごとのトレンドを反映させています。

#02 SHEEP SKIN RIDERS

上質な雰囲気が人気を支えるシープスキンのジャケット

続いてはシングルライダースです。

有働:これは3年位前から継続しているアイテムです。ブランドの立ち上がりから、デニム、ネルシャツ、ライダースジャケットは常にリリースしています。このライダースジャケットは完成度という点でも非常に気に入っています。

シンプルながらもオフセットになったデザインが絶妙です。レザーについて教えてください。

有働:こちらはシープスキンを使用しています。これまで、牛革はもちろん、ホースハイドなども使いましたが、軽さ、着やすさを考えると、シープスキンやディアスキンが適しています。少しタイトなシルエットですが、シープスキンなので柔らかいですし、快適に着てもらえると思います。またシープスキンの特徴としてシボの部分が多いですが、職人さんがうまく裁断の段階で工夫し、適材適所に使い分けてくれるのでエレガントな仕上がりになっています。

#03 BIG SILHOUETTE SHIRT

流行を的確に捉えた野暮ったさ皆無のネルシャツ

ファーストコレクションから展開しているネルシャツについて。

有働:このネルシャツは、今のトレンドを反映して、身幅が広いビッグシルエットで仕上げています。ただ大きくするのではなく、エレガントにする点にもこわだりました。衿を小さくし、よくあるアメリカのフランネル生地のような起毛を避けてることで上品な雰囲気に仕上げています。

チェック柄が大きいですね。これはオリジナルですか?

有働:そうです。あえて大きくしています。これが着た時に、一癖あっていいんですよ。広い身幅を活かすために、タックインしてボリュームを出して着てもらえるとおもしろいと思います。

#04 ALAN CREW KNIT

コスパと着回し力が自慢のアルパカ×ウール製ニット

次はニットですね。これはいつ頃からリリースされているのでしょうか?

有働:3年前からですね。おかげさまでオーダーがとても多く、その結果、定番になりました。ジャガード織りでパターンを切り替えているのが特徴です。肌触りと軽さ、素材感を出すために、アルパカを混ぜているのですが、この作り込みでこのプライスは我ながらがんばっているかと(笑)。

たしかに、これはお買い得かも? そんなコスパの良さも定番たる由縁ですね。

有働:これはトレンドを反映するというより、ベーシックな部分を突き詰めています。シルエットは細すぎず、太すぎないバランスに仕上げています。ジャガード織りならではの色合いも特徴で、今シーズンのテーマである「1950年代のアメリカ」を表現したアラン柄にしています。

#05 MELTON HOODED COAT

カシミヤを混紡のメルトンでなめらかな肌触りを実現!

最後はコートですね。

有働:メルトンのアウターはコンスタントに展開しているのですが、2年ほど前から継続しているデザイン。世界でも有数の織物の産地である尾州地区で生産から縫製を行っています。ファクトタムのブランドのスタンスとして、日本の素晴らしい技術を取り入れることも大切にしています。

メルトンにしてはかなり柔らかい肌触りですね。ファクトタムらしい上品さが感じられます。

有働:着心地も考慮してカシミヤをブレンドしているんです。シャルム加工を施したラムカシミヤ糸なので、柔らかくて光沢感のある生地が特徴。比翼なので上品な印象ですが、実はベースとなっているのは、スウェーデン軍のスノーパーカなんですよ。見た目はエレガントですが、袖裏にレザーで補強するなどして、ミリタリーらしいヘビーデューティさも兼ね備えています。

確かに、絶妙なバランスですね。どれも長く使えそうなものばかりですね。

有働:お客様のワードローブに残るようなものを提供したいと思っています。そのために着心地や機能性、ファンクション性を高めたリアルクローズを作り上げていくことが、僕らが大切にしているものづくりの姿勢です。

Buyers Voice

「今年で37歳になるのですが、20代からファクトタムを愛用しています。20代の時は少し背伸びした感覚でしたが、この齢になって等身大のリアルクローズだと感じるようになりました。ファクトタムを初めて買うお客様にオススメしたいのが、デニムのコレクションです。細身のきれいなシルエットであることはもちろん、30代になって崩れてしまった体型もカバーしてくれます。また色落ちもいいですし、加工モデルは唯一無二な個性があります。一度穿くとやみつきになりますよ」(メンズバイヤー 担当:Y)

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プロフィール
  • 有働 幸司/ウドウ コウジ

    1971年生まれ。熊本県出身。東京モード学園を卒業後、ビームスへ入社。退社後にロンドンへ留学。帰国後に人気ドメスティックブランドの立ち上げメンバーに。
    独立後の2004年、「ファクトタム」を設立。今では海外から高い評価を受ける東京を代表するブランドのひとつに成長。2017年には、「コスチューム ナショナル」のメンズのクリエイティブダイレクターに就任。
FACTOTUM

ブランドコンセプトは「デニムに対する深い思いと、モードとリアルクローズを融合すること」。 ファクトタムのベースはミリタリー、ワークウェア、それにテーラードの要素が加わっている。2018AWでは「THE GHOSTS」と題し、 1950 年代のアメリカのハードボイルド、アメリカントラッドをベースにしたスタイルを提案。

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  • Photo: Norihito Suzuki
  • Text: Shuhei Sato
  • Edit: Tsuneyuki Tokano

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