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Editorial / July 2021

植物とデザイン

写真/ 椎葉 恒吉(Petrichor)
フラワーコーディネート/ 上田 翠




外出の機会が減り、家の中に目が向くこのごろ。
自然を感じたくて、もしくは目に癒しが欲しくて、花屋に立ち寄ったりサブスクリプションを利用して花束を取り寄せたり。フラワーベースを買う人が増えているという。
では、より自然を感じ取れる飾り方はあるだろうか? 生活の一部に馴染ませる方法は?
「天然のデザイン:植物」と「人の意思を反映させたデザイン:花器」──今回は、有機と無機の調和を探るストーリー。
人柄と仕入れのセンスに惚れ込んで通う顧客と取材依頼が引きも切らない、蔦に覆われた生花店『ハナミドリ』オーナーの上田 翠さんに生けていただいた。


草むらから覗く豹

アンバーのガラスにレオパード柄を施し、
動物に寄せたデザインが植物との相性を良くする。
花を飾らない時もオブジェとしてインテリアのアクセントに。

[ ビバーナム ]
庭木としてポピュラーな低木は、花が咲いた後が面白い。
赤い枝にアメジストのような実。
枝ものは花よりも長く楽しめ、気づけば根が生えていたりと生を感じられる。
植物のうねりやなびきは生命力。ラフに挿せば吹く風も感じられる。

CLAY レオパード・フラワーベース H25cm/ 8,800円

寄り添う蘭

白地にパールの同色ボーダーが現代的。食器としても見慣れた陶器の質感が、花をごく自然に部屋の風景に馴染ませる。

[ マザーチーク & トラディスカンティア ]
淡いピンクの小ぶりな胡蝶蘭と、ピンク×グリーンの縞模様の葉。花器に寄り添う柔らかさ、花と葉が元からの組み合わせに見えるような色合いに、セレクトの面白さを感じて。

KAHLER オマジオ・フラワーベース H19.8cm/ 10,450円

まっすぐのリフレイン

クリアガラスに真鍮の脚がインダストリアルなデザイン。水と植物が浮かぶ佇まいは、自然界にありそうな現象として眼に映り、ファッションで言うところの「抜け感」を思わせる。

[ アガパンサス ]
天へと伸びて花火のように咲く、「恋の訪れ」を花言葉に持つアガパンサス。まっすぐな茎と花瓶の脚をリンクさせて。

menu イシャス・フラワーベース H28cm/ 29,700円

擬態するピッチャー

時には、テーブルウェアを花器として使ってみる。ミラー仕上げの水差しは、周囲を歪ませながら取り込んでカメレオンのように擬態する。

[ ベゴニア ]
ピッチャーの個性を生かして、水が溢れたようにしなだれる花を選んでみる。鉢植えや花壇でこんもり賑やかに咲くベゴニアも、1、2本でさりげなく挿すと可憐な印象に変わる。

GEORG JENSEN 750ml ピッチャー H24.8cm/ 33,550円

植物も水を飲む

短くなってしまった花を挿すにはマグやグラスが丁度いい。地球に生きる同じ水を飲むもの同士、シェアする気持ちで。写真のマグ&ティーポットは普遍的な日常を内包した形。グッドデザイン賞を受賞。

[ ゼラニウム ]
ヨーロッパの窓辺に咲き、生活を明るく照らす花というのがスタンダードなイメージ。サラダにしたら美味しそうな葉なのも、食器と相性が良いポイントかもしれない。

写真左から
Common ホワイト・マグ H9cm/ 1,650円
Common ホワイト・ティーポット 1l/ 5,500円

泉を置く

深いグリーンが漂うガラス花瓶は、挿す植物によって森の霧から泉の揺らめきへとイメージを変化させる。部屋の中でも光を反射して、小さな泉があるような気分に。

[ カラジウム & ホットチリ ]
ハートの葉をコロボックルの雨傘と見るか、水面の睡蓮の葉と想像するかで飾り方が変わる。葉まで赤いケイトウと組み合わせると、よりファンタジック。

LSA フォレスト・フラワーベース H22cm/ 42,900円税込

石に咲く

コンクリートの裂け目から力強く伸びて咲く花に、はっとすることがある。その瞬間を形にしたような、ガラスにコンクリートをかぶせた花瓶。現代的な人工と自然のバランス。

menu ウィルマン・フラワーベース H20cm/ 19,800円

自然を絡めとる

薔薇の棘の向こうに見えるのはスチールのスフィア(球体)入りの花瓶。
頼りない茎から重くて倒れがちな花枝を支えてくれ、
思い通りに挿すことができる。

[ ユーコミス ]
頂点にパイナップルがなっているような不思議な植物だけど
ヒヤシンス科と聞けば納得できるのでは。
生命力あふれる外見を生かして大胆に飾るタイプの花には、
写真のようなスフィア付きがおすすめ。

Born in Sweden スフィア・フラワーベース コッパー H22cm/ 15,180円

天然色のコントラスト

ガラスにのせたメタリックカラーは、銅色と金色。
天然の鉱物から取った色なので、植物との相性も想像以上に良いと感じるはず。
花を飾らない時はラグジュアリーなオブジェとして並べて。

[ アンスリウム & リシマキア ]
触りたくなるつやつやの白いアンスリウムと、野草らしい柔らかさを持つリシマキア エリザベス。
茎は曲がるに任せて自由に、ラフに挿せば
植物も喜んでいるように見える。

写真左から
CLAY コッパー・フラワーベース H21cm/ 17,600円
CLAY ゴールド・フラワーベース H17cm/ 17,600円

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/ PROFILE

上田 翠 うえだ・みどり

都庁にほど近い西新宿。路地へ一歩入ると見えてくる、蔦の絡まる一軒家の生花店『ハナミドリ』のオーナー。
建築家・宮田一彦氏が築50有余年の元印刷工場をリノベーション、自宅兼事務所とした後を継ぎ、2010年に店舗をオープン。
アパレル、飲食店などの生け込みや、フラワーアレンジメントのワークショップなど、活動は多岐にわたる。
撮影中、通りかかったご近所さんが「よっ! みどりちゃん!」と声をかけていくほどの人柄。
仕入れのセンスに惚れ込んで通う顧客、取材依頼が引きもきらない。

/ SHOP INFO


今回の撮影場所になった、上田 翠さんの生花店『ハナミドリ』。
都庁にほど近い西新宿、蔦の絡まる「おうち」は都会のエアポケット。
蝶がひらひらと飛び交い、清浄な空気に満ちている。

ハナミドリ
address: 東京都新宿区西新宿5-25-1