Editorial | 愛と性のはなし Editorial | 愛と性のはなし

Editorial / December 2021

愛と性のはなし

取材協力 / 森田敦子
絵 / 佐伯ゆう子

2021年流行語大賞に「フェムテック」がノミネートされるなど、ここ数年で性の健康についての興味関心が強まった。それは人生100年時代を見据えて、自分の身体をよく観察して、よく知って、そしてよくケアして、よく愛そう、という気持ちが強まっているから。自分の身体に耳を傾けてケアまで行えたら、次のステージでは、大人の性生活について知識を深めたくなる。性生活を豊かにすることで得られる幸せや健康とは? そもそも性行為とは? ここでは「男女のからだ」にて、食欲や睡眠欲と同じように性欲も大切な欲求だと教えてくれた森田敦子さんからお話を伺った。


────「男女のからだ」でも、三大欲求である食欲、睡眠欲、性欲は全て繋がっていて、どこかが崩れると“不”健康であるサインと教えていただきました。改めて、性欲の大切さを教えてください。

女性も男性も、身体の健康を語る上ではセクソロジー(性科学)が欠かせません。そこには生きるために、食べて身体を作る(食欲)、眠って身体を休める(睡眠欲)、私たちの身体に流れる遺伝的な働きを種として後世へ残す(性欲)、これらのトライアングルがあり、生き物全てが一緒です。ただ、性欲は種を作るためだけのことだけではない。女性にはクリトリスという快感を得るための臓器があり、快感を得ることで粘液が出て潤滑剤として、性交をスムーズに行えたり、出産時にも大きな役割を果たします。神経伝達によってストレスホルモンを解消するアナンダミドやβ-エンドルフィンなどの脳内物質も分泌されるので、身体だけでなく心にも良い影響を与えます。これは女性の身体に標準装備されていること。女の子は3,4歳くらいから本能的に触れ始め、腟を特別な場所なんだと感じてほしいです。なんとなく「子供を作るためだけのもの」と思われている方もいますが、妊娠出産を経験する世代だけではなく、プレ更年期や更年期、老年期まで、性の健康は一生を通して大事なことであると、理解しておくことが大切です。

「お互いを慈しみ合う」それが性行為

────学校や家庭では「しっかり食べなさい」「寝る子は育つ」と教えられてきたのに、性に関しては避妊の方法くらいしか教わってきませんでした……。では、そもそも性行為とはどういうものですか?

性行為は、ただ単に挿入し射精すること、が全てではありません。私たちが持つ一番大きな臓器でもある“皮膚”を使って、手をつないだり、ハグをしたり、頭を撫でたり──お互いが触れ合うことで、心地よさや安心感を得て心や身体を満たす大切な営みです。だからこそ、誰とでもできるわけではなく、親密な相手と大切にしあう行為。その延長として射精までいくこともありますが、中国やインドでは男性が毎回射精をしていたらエネルギーが持たないという考えもあり、あえて射精を自制する性交方法もあります。途中で終わってもいいのです、触れ合うだけでもいいのです。
挿入中に相手のペニスが小さくなってしまった、など性行為の中で不安を感じた経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。「私に魅力がないから?」と思ってしまう方もいると思いますが、最初から最後までパーフェクトにいかないといけないなんて思う必要はありません。「互いを慈しみ合う」それが性行為なんです。

────確かに好きな人と触れ合っているときって高揚感があります。そんなドキドキやときめきを感じることが大事なんですね。

そうです、パートナーや周りに気になる相手がいなくとも、好きなアーティストでもいい。そこで「かっこいいな」「素敵だな」など、いわゆるキュンと感じることは子宮あたりで起こっていることだったりします。今、日常生活の中でときめきを感じることが少なくなっていると悩まれている方も多いですが、いつどこでどんな出会いがあるかはわかりませんよ。関係のないことと諦めてしまわず、素敵な出会いに備えて腟のケアやトレーニングをしておく、女性性を身体の内側から愛でてあげることから始めてみるのもいいですね。

性生活を豊かにするために、
まずは言葉の営みから始めてみる

────他にも、豊かな性生活を送るために始められることはありますか?

まずは自分自身の身体の仕組みをしっかり知る、反対にパートナーの性の健康についても知る、それからそれぞれのオリジナリティある性欲について話し合って知ることで豊かな性生活につながると思います。しかし、相手が傷つくんじゃないかと気を遣って、きちんと話し合えていないカップルや夫婦は多いですね。話し合えていないと、お互いの身体の悩みや思いを理解できず、性生活に少し不安を感じたときにお腹の底あたりでもやもやができてしまう。そのもやもやが大きくなると、一緒にいることが辛くなってしまい、離れ離れになってしまう原因にも。
例えば、彼氏や夫から「相手の腟と合わない、けどこれは言ったらかわいそうだな」と思われていたとしたら、はっきり教えてほしいと思いませんか? お互いの性欲について、本当の気持ちをきちんと話し合って理解をすることで、腟トレを始めてみたり、ケアを見直してみたり、自分で改善しようとするきっかけにもなりますよね。女性も男性も、結婚や出産など、長い年月をかけて身体もゆっくり変化していきます。変化を受け入れながら、自分の身体の声を聞いて、「今、私はここを触ってくれると嬉しい」などとお互いの気持ちを明かすことで、はじめて嘘ではない本当の性生活を送ることができます。

────話し合い! ……確かに難しいですね。相手が嫌な気持ちになるかもと気を遣ってしまって、自分たちの性生活について一緒に向き合ったことなんてありません……。話し合い、すぐにします!

話を切り出すときは深刻な空気を出すのではなく、「ねえ、腟トレや腟圧計なんてものがあるんだって! そろそろ大事かな?」とか「あなたは最近どう? お互い歳をとっていくんだし、何か始めたほうがいいよね」など、日常会話のようにしなやかに切り出せると、相手にもプレッシャーがかからないかなと思います。なんでもくすっと話し合える仲が素敵ですよね。とにかく、まずは言葉の営みから始めてみてください!

マスターベーションは、
内側から身体や心をケアする大切な行為

────性生活を豊かにするために、これからはマスターベーションについても注目される時代がくるのかなと期待をしております。そこで、マスターベーションの方法などについて教えてください。

まず、マスターベーションを始める前に、自分のデリケートゾーンに触れて、見て、ポジティブなイメージを持つことから始めましょう。パートナーがいようがいまいが、オーガズムを得ることで、骨盤底筋が揺れて、血流が良くなり、冷えが解消されたり免疫力が高まったり、また幸福感も得られやすくなる。強調しますが、これは私たちの身体に標準装備されていること。決して恥ずかしいことでなく、内側から身体や心をケアする大切な行為であることを忘れずに。
女性のマスターベーションをサポートするアイテムとして、最近では肌に優しい素材やデザインにこだわった女性のためのセルフプレジャー製品も登場しています。実は、セルフプレジャーは第一次世界大戦時にお医者さんが作ったものなのです。豊かな性生活を手助けし、また自分の身体のことも理解でき、理解できたら相手にも伝えることができる。私が推奨するデリケートゾーンケア製品やフェムテックを取り扱うセレクトショップ『WOMB LABO ONLINE STORE(ウームラボ オンラインストア)』に、さまざまなプレジャーテックを取り扱っているので、ぜひチェックしてみてください。

────セルフプレジャーがお医者さんによって作られたなんて驚きです。快感を得ることが身体や心の健康にも結びつくことが学べました! 最後に恋愛に悩んでいる方や今の性生活を改善したいと感じている方へメッセージをお願いいたします。

相手へ、周囲へ、ではなく、まず自分にとっての幸せを考えながら自分の内側から愛することを徹底してほしい。その先には、キスをして嬉しい気持ちになったり、ハグして安心できたり、など自然な気持ちがあるように、個体であるわたしたちの身体は潜在的に人との触れ合いを求めていることがある。赤ちゃんがお母さんやお父さんに抱っこをしてもらうのと同じで、大人にもその気持ちはどこかに残っていると思います。人間と人間の触れ合いを通して、愛と性を大事にするために、まずは自分のコップをたっぷりと水で満たしてあげる。その水の中には、自分の体をよく観察し、腟の潤いを満たしたり、腟ボールや膣圧計を使って腟のメンテナンスをすることが含まれています。「自分の身体のことを知る」ことから性を考えていきましょう!

【おまけ:エディターのつぶやき】
今回のテーマは「性生活」。かなりストレートなテーマだったが、森田さんの母のような寛大さにこちらも安心して話を聞くことができた。さらに、気づけば涙さえも出ていた。それは私自身も夫婦生活で悩んでいるから。誰しもが付き合いたての頃のような、真っ直ぐ愛を表現しあえる仲を望んでいる。出会った頃のお互いの好みを理解していても、年齢を重ねるにつれて身体や心にも変化は訪れる。食べ物の好みが変わるように、性欲にも変化が現れるのは仕方のないことだ。しかし、「前は焼肉が好きだったけど、最近は少量でも胃もたれしちゃう」なんてノリで「前はここが良かったけど、今はここが気持ちいいのよ」と、相手に伝えられないのはなぜか。それはまだまだ日本では「いやらしいこと」という後ろ向きなイメージが根強いから。デリケートゾーンのケアは大切、トレーニングをしておいたほうがいい、という風潮になってもだ。
森田さんから発される言葉には、決して強制力を感じることはない。まだまだお互いの性欲について話し合うまでいかなくとも、まずは自分を愛する、そしてケアをすることを徹底して行うことからゆっくり始めてみよう。心に余裕ができたら、次はパートナーとの間にある緊張もゆっくりほぐしていけるように。そして、日本の全ての女性が、カップルが、夫婦が、HAPPYな性生活を送れますように!

/ PROFILEプロフィール

森田敦子

植物療法士 / 株式会社サンルイ・インターナッショナル / Waphyto代表

客室乗務員時代にダストアレルギー性気管支喘息を発病したことがきっかけで、植物療法に出会い渡仏。パリ13大学で植物薬理学を本格的に学び、症状が劇的に改善。帰国後は、植物療法に基づいた商品とサービスを社会に提供するため会社を設立し、『INTIME ORGANIQUE』の商品開発や、フランス フィトテラピー普及医学協会の日本で唯一の認定校「ルボア フィトテラピースクール」を主宰。2020年、トータルライフケアブランド『Waphyto』を立ち上げる。著書に『自然ぐすり』(ワニブックス)やベストセラーとなった『潤うからだ』(ワニブックス)、『枯れないからだ』(河出書房)などがある。また、2021年9月にはセンシュアリティケアをサポートするフェムテック・ウェルネスメディア『WOMB LABO』をスタート。

/ INTRODUCING BRANDブランド紹介

Waphyto

ワフィト

日本初の植物バイオメソドロジーブランド。
フィトテラピーと本草学、サイエンスの融合により誕生。植物療法の第一人者である森田敦子のもと、地質学や農学、薬学にフィトサイエンスのエキスパートたちの協力によって実現。

すべてのアイテムに、高い機能性を持つ東三河産の5大植物成分(桑、菊、ゴツコラ、ヨモギ、スギナ)を黄金比で配合し、香りからのアプローチも徹底。すべてのパッケージデザインは、奥深い自然界に存在する色からインスピレーションを得て、アースカラーと日本の伝統色のパレットで統一している。

肌や髪、そしてデリケートゾーンまで。化粧品という枠を超え、女性の一生に寄り添う独自のライフケア提案は、植物療法士である森田敦子が、出産や介護、不妊や更年期ケアなど、フィトテラピーの現場で培った長年の経験と、長寿時代に生きるすべての女性に向けたメッセージ。100年時代を迎えるいま、誕生から人生の最終章まで、女性の一生に寄り添いながら、健やかで美しいライフスタイルをサポート。

Waphytoのことをもっと知りたい方はこちら

森田敦子さんが開発、
女性の健やかな暮らしをサポートするアイテム

Femtech & Femcare Brands
性生活に寄り添う
注目のフェムテック、フェムケアブランド

EMIGI(エミギ)

ドイツ製にこだわったトレーニングボールを展開するブランド『EMIGI』。腟の中でボールが転がる刺激で、骨盤底筋を鍛え、女性特有のさまざまな不調にアプローチできる。ボールには肌に優しいエラストマーを使用、さらにスムースな触り心地、本体と紐部分が一体型になったデザイン、解剖学に基づいて設計されたシルエットでビギナーも安心してトレーニングをはじめられる。ギフトにも喜ばれそうなかわいいパッケージも魅力。

INTIMINA(インティミナ)

2009年に性教育先進国のスウェーデンで生まれたフェムテックブランド。最初の月経から更年期まで、女性の生涯においてあらゆる段階で起こる健康問題を解決する製品と情報を届けることを使命に、月経カップやトレーニングボールなどを展開。『INTIMINA』の製品は、生殖医療や骨盤底筋など多方面の専門家たちからのアドバイスとサポートをもとにつくられている。月経カップの売上の一部は、生理用品の無償配布を行う『PERIOD.(ピリオド)』等の女性の保護と福祉に特化した4つのNGOに寄付される。

Pubicare organic(ピュビケア オーガニック)

『Pubicare organic(ピュビケア オーガニック)』は、日本初のデリケートゾーン専門美容サロンから生まれたオーガニックスキンケアブランド。「子宮に近い大切なエリアを安心してケアしてもらいたい。不快な悩みのない健やかな身体へと導きたい」という想いから、女性の身体をいたわるアイテムを開発。経皮吸収率の高いデリケートゾーンを考えてつくられた優しい成分配合で安心してデリケートゾーンケアをスタートできる。

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