

LIVING / 30 APRIL , 2020
「ロングルアージュ」代表 東條汀留さんに教わる
美しい手元をつくる7つのコツ
写真 / 中川 淳
取材協力 / ロングルアージュ
手先が美しい人に会うとすっと気持ちが整うように、清潔感のある美しい手元は身近な人の好印象にも繋がる。そんな手元をつくる上で一番欠かせないのが、日々の生活を支える“爪”の存在。35年以上もの間、自らの経験を持って“どんな悩みの爪でも生まれ変わる”という自爪のケアを提唱し続けてきた老舗ネイルサロン「ロングルアージュ」代表でもあり、今もなおマニキュアリストとして現場に立ち続ける東條汀留さんの思いが詰まった、手の美しさを導くための健康的な爪の育て方とは? この7つのコツが歯を磨くことのように、日常のちょっとした習慣になることを願って。
01
甘皮・ルーズスキンを
定期的にケアする
硬くて弾力のある、健康な爪を手に入れるには、爪の根元にある甘皮と爪に張りついた薄い角質(ルーズスキン)のお手入れが必要不可欠。これは、東條さんがネイルを始めた頃から言い続けていることでもある。甘皮は爪を生育する部分(爪母)を守るための大切な役割。そのため、必要な甘皮は切らずに残しつつ、爪に沿って伸びてくるルーズスキンを丁寧に除去し、甘皮と爪の隙間を開けることでいい空気と栄養が入り込み、爪の成長が促進されるのだ。
【 Point 】 甘皮ケアで爪は育つ
「ポイントは、プッシャー(家ではウッドタイプを推奨)を爪に対して45度に当て、円を描くようにルーズスキンと甘皮を優しく起こすこと(写真1)。家で行う場合は、甘皮を爪から離すだけでかまいません。このケアを1週間〜10日に一度行うことで、甘皮が張りつくスピードも遅くなり、爪の厚みが増し、ささくれも出来にくくなります。まずは、最低でも半年間は続けるようにしましょう。マッサージするだけで簡単に甘皮ケアが叶う、爪専用スクラブ『ネイル クレンジング スクラブ』(写真2)であれば、お手入れがもっと楽に」
02
爪は切らない
普段の日課でもある“爪切りで爪を切ること”。実はこれが爪に負担をかける理由の一つでもある。切った後にその反動で爪の一部が剥がれて二枚爪になりやすくなるのだ。爪が弱い方ならなおさら、エメリーボード(爪やすり)を使って爪を整える習慣を。削り方のコツは、エメリーボードを爪の断面に対して45度に当て(写真1)、一方方向で削ること。サイドも爪の横の生え際に沿ってまっすぐ削り(写真2)、最後に出来た角を丸く削る(写真3)。生え際でもある両サイドの削りを怠ると、ひび割れの原因にもなるため、ご注意を。
【 Point 】 一週間の掟
「爪は伸びすぎると削るのも大変ですよね。そのため、1週間に1回、約0.1mmずつ伸びる爪の削りを貯めずにケアすれば、面倒さも軽減するはずです。全てのネイルケアにおいてお伝えしている1週間というサイクル。私たちは海から生まれた生物で、“7”という数字は様々な意味で体の周期になっています」
03
お手入れは必ずウォーターケア


乾いたまま甘皮を起こすことがかえって皮膚に刺激を与え、健康的で綺麗な爪の生成の妨げに。そのため、甘皮のお手入れ前には必ず、少し熱め(38度程度)のぬるま湯に10分ほど指先をつけて甘皮を十分に柔らかくすること! つい見逃しがちなこのウォーターケアは、甘皮とルーススキンをしっかり起こすための重要な役割でもある。
【 Point 】 時間短縮には石鹸水を
「さらに早く甘皮をふやかしたい方には、石鹸水もおすすめです。入浴後のお手入れならばもっと楽になります。どちらにせよ、乾いた状態での甘皮処理は絶対に行わないようにしましょう」
04
形はラウンドスクエアに整える
数ある形の中でも「ロングルアージュ」で提唱しているのが、スクエアの角を落としてサイドをまっすぐに伸ばした“ラウンドスクエア”。この形を維持することで、左右に弧を描くようになり、古来より人間が最も美しいと感じる黄金比(爪の高さ1:爪の幅1.6)のカーブを持つ爪を手に入れることができる。立体感のある爪は、衝撃に強く割れにくいのも特徴。そして、実は手の甲が太って見えやすくなるポイント(三角形)の爪よりも、指を長く細く見せることができる優秀な形でもある。
【 Point 】 爪は短くしすぎない
「さらにふっくらとした爪を作るには、ある程度の長さも必要です。長さを保つことで裏側の皮膚が伸びて爪の面積が増えて上下にもカーブがつき、小さな爪や反り爪の矯正にもなります。爪は元々皮膚を保護するもの。短くしすぎることが、様々なトラブルの原因にもなりかねません。抵抗のある方も、せめて裏から1~2ミリ程度は伸ばすように心がけてみて下さい」
05
色塗りは裏まで
“マニキュアをしないほうがいい” は、実は間違い。色を塗ることで、爪を衝撃や乾燥から守ってくれるのだ。そして、ベースコートにマニキュア(2度塗り推奨)、トップコートまでの全ての工程において、塗り始めは“爪の裏”から行うこと。このひと手間が、色持ちをぐんとアップさせる秘訣にもなる。トップコートを3日に1回塗り重ねることでさらなる持続効果も。
【 Point 】 塗る前に“ハケを作る”
「上手に塗るコツは、ハケのしごき方にあり! 塗る場所に合わせてハケの幅と量を調整することが重要です。爪の表面の場合は、ハケを最大限に広げて平らな状態にすることで(写真4)、その角を使って両端までしっかりと塗ることができます」
06
所作に気をつける


例えば、プラスチックの食器と陶器のうつわでは自然と扱い方が変わるように、儚く脆いものに対する所作ほど優しくなるもの。それがジェルネイルとマニキュアの違いでもある。“強い”という安心感からつい手荒くなりがちな物の持ち方や道具の扱いも、“弱い”からこそ、1つ1つの動作に目を向け直すことで意識も変わり、自ずと優雅な所作が身についていくのだ。
【 Point 】 美しさは儚さに導かれる
「うつわに手を添えたり、一度箸を置いたり。一呼吸おいて儚いものを愛でる気構えは、本来、私たち日本人にとってすでに備わっている文化でもあります。マニキュアを塗ることで無意識に所作や仕草が綺麗になっていくのです」
07
常に保湿を大切に
保湿=「水分」のこと。乾燥した肌には、どうしても油分(クリームなど)を取り入れたくなってしまうものだが、基本的に油分や界面活性剤は肌に浸透しにくく、いくら使用しても潤いには繋がらない。保湿クリームを使う場合も、まずは水溶性の商品で肌の浸透力を高めることから意識しよう。もちろん、水分補給も忘れずに!
【 Point 】 シンプルケアの必需品
「施術前に手を清潔に保つための化粧水を探していた頃に出会ったのが、イオン化された水がベースになった化粧水。これまでどんな化粧品でも叶わなかった乾燥肌がみるみる潤い、感動したのを覚えています。この化粧水を改良して浸透性を高めた“水”が『マジックウォーター』(写真1 左)です。敏感肌の方も安心してお使いいただけるよう、界面活性剤、アルコール、オイル、香料、着色料フリーで肌に負担をかけず、1本で潤いを手に入れることができるシンプルさも追求。人の皮膚に近い組成で馴染みやすいサジーオイルで、パサつく指先をあっという間にケアする『キューティクル モイスチュア ジェル』(写真1 右)もおすすめです」
/ PROFILEプロフィール


東條汀留
ロングルアージュ代表/マニキュアリスト
日本のマニキュアリストの先駆者・故アン山崎氏に師事し、キャリアをスタート。1987年独立。卓越した技術と感性が瞬く間に評判を呼び、翌年、「爪の時代」を意味するネイルサロン「LONGLEAGE(ロングルアージュ)」をオープン。1991年ネイルカレッジ開校。2002年「TAACOBA」(タアコバ)銀座本店オープン以降、東京と関西に現在7店舗を展開。爪本来の役割に着目し、日本人に合った健康で美しい爪のためのネイルケア理論や独自のケアスタイルを確立させ、その後も基本ケアの大切さを提唱し続けている。著書に『大人の上品美爪塾』(講談社)など、テレビ、雑誌などのメディア、講師としても幅広く活躍中。
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